11月は団体様のご宿泊が多いので、私も着物になることが多くなります。
(宴会のご挨拶へ伺うからです。)
当初私は「女将=着物姿」というイメージに何となく反発を覚えていたのと
仕事の邪魔になるから・・・という理由で、着物なんて着ることはなかったのですが
リニューアル半年後くらいに
「着付け教室くらい通ってみようかな・・・。」
とふと思いたち、あるお教室に通い出しました。
そこで出会った着付けの先生は、着物のことだけでなく、日本の文化や芸術にも
とても造詣が深く、お教室の後のお茶の時間に、それらのお話をユーモアを
交えながらわかりやすく聞かせてくださりました。
着付け教室の生徒さんは皆「着付けの時間も楽しみだけど、その後の先生の
お話もとても楽しい。」と言います。
そして、私のように若い(30代でも若いんです!)人の懐具合に合わせて
アドバイスをしてくださります。
だから、私も無理なく着付けを覚えることが出来、「着物のローンで首が回らない!」
なんてことにもならず、自然にワードローブも増えております。
ときにはお教室の皆さんで、着物を着て能や文楽を観にいったりしております。
このように素敵な先生との出会いがあったということもあり、今では
着物で仕事をすることもございます。(それでも、宴会のご挨拶が終われば脱ぎます。
湯加減の調節とか、ときには汚れ作業もありますので。)
お客様に「着物姿がいいですね。」とお褒めいただくと、素直にうれしく思えます。
特に年配のお客様や外国からのお客様は、着物姿を好まれるようで
「写真を撮っても良いですか?」と聞かれることもあります。
そんなときに
「もし自分が海外に行った際、ホテルやお店の人が民族衣装を着ていたら
きっと旅行気分が一層盛り上がるだろうなあ。これも大事なおもてなしなんだな。」
と、気が付きました。
まあ、女将を2年もやっていると心境の変化もあるってことです。
最初の頃は、学生が校則で決められた服装を違反してみたくなるような
そんな反発心もあったのです。
「これからの旅館は【女将=着物】だけじゃないだろ!」・・・ってな反発ですね。
着てみれば、汚れ仕事以外は普通に出来ますし(着物で布団も敷きますよ。
ピアノはちょっと弾きにくいですね、袖がジャマ!)
用が終われば脱げばいいだけのことですし、何も頑なに拒むことも
なかろう。という結論に達しました。
先日お直しに出した着物が戻ってきました。
古典的な柄ですが、うちで一番若い従業員が
「いいですね。」と褒めてくれました。
若い人って意外と古典的なものが好きだったりしますね。