ご新規グループと常連グループのお客様は
ともに年配の方々です。
平日に何泊も出来るといったら、やはり年配の方ですね。
ご新規グループの方と常連グループの方が、先ほどフロント前で
おしゃべりをしていました。
ご新規の方が常連の方に
「あなた、お化粧しなくても肌がきれいね。」
と言ったのがきっかけで、常連グループの方がこんなお話を
聞かせてくれました。
「私の母親はずいぶん若い頃に亡くなったんです。
戦後すぐのお米がない厳しい時代に亡くなって、お葬式のとき
貴重なお米を使って、集まった人におにぎりをふるまったのだけど…。
そのときに、おにぎりをにぎった人の手が化粧クリームくさかったようで
おにぎりにクリームのにおいが移ってしまい。
男連中に
『こんな臭いおにぎりは食べられん!』
と叱られて、泣く泣く貴重なおにぎりを捨てたんです。」
「だから私は化粧は大嫌い。」
聞いていて涙が出ました。
青春時代の華やかさに彩りを添えるであろうお化粧が
こんな辛い思い出として残っているなんて、戦争とは
本当に残酷なものなのだと、痛感いたしました。