お正月を迎えるにあたって、当旅館でも、ふすま、障子の張替えをおこなうことに
なりました。
と、書くのは簡単ですが、実際には100数十枚のふすまや障子を張り替えるのです。
これがどれだけ大変か・・・。
でも、新しいふすまでお客さまをお迎えしたいものです。
どうしたものかな、と考えていたところ、ホームセンターで「簡単に貼れるふすま紙」
という商品を見つけました。
2枚で599円!
「今年は自分達でふすま貼ってみようよ♪」と主人に提案し、早速ホームセンターで
ふすま紙を購入してきました。
仲居さんたちにも手伝ってもらい、まずはふすまの木枠をはずし、古いふすま紙を剥がします。
そして、「簡単に貼れるふすま紙」の裏面に、スポンジで水を塗っていきます。
そう、このふすま紙にはノリがついていて、それを水で溶かして貼り付けるのです。
ふすま紙の説明書きの通りに300ccの水を塗るのですが、そうすると、紙がぐちゃぐちゃに
なってしまいます。
その水が滴るふすま紙を貼るのですが、へらで撫で付けてもシワシワになってしまうのです。
これには私も主人も大ショック。
「・・・やりかたがまずかったのかなあ。今度は水の量を減らしてみよう。」
水の量を半分くらいにしてみましたが、やはりシワシワ。
「全面濡らすのではなく、端っこだけ濡らしてみようか?」
端っこだけノリを溶かして貼ってみましたが、そうすると真ん中に空気がはいってぼこぼこ。
さすがに二人の顔にも焦りが広がってきます。
「・・・ねえ、もし失敗だったときのために表具屋さんに頼んだら、いくらで張り替えてくれるか
問い合わせてみようよ。」
表具屋さんに電話をかけたところ
「張替え1枚2000円」
とのことでした。
普通のおうちでしたら、ふすま数枚ですので表具屋さんにお願いするのも
良いかもしれませんが、旅館のふすまは全部で100数十枚。
出来ることなら自分達で張り替えたいところです。
「少し休憩して、また挑戦しよう。」
疲れた様子の主人が言い、3時間ほどお休みです。
・・・3時間後。
正直言って、「こんなことなら、ふすま張り替えようなんていわなければよかった。
若女将、暴走しすぎって非難されたらどうしよう。」
とだんだん不安になっていたわたしなのですが。
ぐちゃぐちゃでシワシワだったふすまは、3時間経ってノリが乾き
ピーンと紙が張り、ぱっと見た目には素人仕事とはわからないくらいに
なっていました。
「すごいすごい☆乾くとこうなるんだね~。よかったねえ。」
と喜ぶ二人。
「これなら、お客さまに見せてもおかしくない出来だね。きっと表具屋さんが泊まらない限り
素人が貼ったとは気づかれないよ。」
というのは、ちょっと言いすぎかもしれませんが・・・。
100数十枚貼り終えるころには、二人のふすま貼り技術も向上していることを願いましょう。