旅館のお仕事の中で最も好きなのは、厨房で盛り付けを手伝うこと
ということを先日書きましたが、料理を作るにあたって大事なことの中に
「原価計算」というものがあります。
お料理を作るにあたって、いくらお金がかかるかという
計算です。
厨房では、この「原価計算」をしながら食材の仕入れをし
お料理のメニューを決めるのです。
決められた予算の中で、いかにおいしいお料理を作るか・・・
というのは板前さんの腕にかかっているわけですね。
さて、新米若女将の私、張り切ってお料理の盛り付けをすると
どうも量が多くなってしまうようです。
いつも板前さんに渡された食材が足りなくなってしまい
「すみません!白菜足りません!」
「こんにゃく足りません!」
と追加をお願いするのです。
すると板前さん、不思議そうに
「足りない?おかしいなあ。原価計算して切ってるから足りるはずですよ。
足らせてください。」
と言うのです。
そこではじめて「原価計算」なるものを知った私です。
それ以来、私は盛り付けをやや控えめに
板前さんは私に仕事を頼む前に
「玉ねぎは切っているだけ使ってくださいね。」
と一言付け加えるようになりました。
・・・というわけで、今までお泊りになったお客さまは
やや量の多いお料理を食べられてラッキーだったかもしれません。